ウイスキーを飲んでいると必ず話題になるのが樽についての話。現在では様々な樽(カスク)がウイスキーの熟成に使用されている。よく聞くのはシェリー樽、バーボン樽、ミズナラ樽あたりだろう。その他にもマニアックで一部の紹介になるがスタウトカスク、IPAカスク、赤ワインカスク、ラムカスク等。

他種多様な樽の中で美味い樽と独り歩きして言われているのがシェリー樽だ。今回はそんなシェリー樽の中身、シェリーについてをお酒愛好家(素人)として独断と偏見でつらつらと書き記していこうと思います。
今回のきっかけ
バーや自宅でウイスキーを飲むようになってから十数年経つ。美味いウイスキーに当たる機会もそれなりにある。美味いウイスキーの傾向としてシェリー樽で熟成したものが多いように感じる。勿論バーボン樽等他の樽を使ったものにも美味いものもある。が、単純にシェリー樽で熟成した現存ウイスキーの方が世界に球数が多かったからというのもあるだろう。オールドボトルを含めると突き抜けて美味いお酒に当たる率はシェリーの印象が強い。

そこで興味を抱いたのだ。『そもそもシェリーってどんな味なんだろう?』
検証せねば!そう思ったら早いもので各種シェリーをネットや酒販で購入していた。僕の悪い癖です。
シェリーって何なの?
スペインの南部、アンダルシア州にヘレスという地がある。そこで作られているワインの一種で。使われているぶどうは白ぶどうのみでパロミノ種、ペドロヒメネス種、モスカテル種の三種類。

シェリーの種類によってその作られる過程は異なるけれど、ぶどう果汁を発酵させてブランデーやグレープアルコールを添加して酒精強化(アルコール度数を上げる)する。そう、酒精強化ワインというものだ。
酒精強化が終わった新しいシェリーの赤ちゃん達は諸説あるようだが、殆どがアメリカンホワイトオークで作られた樽に入れて熟成される。その熟成過程は少し複雑で、大まかに説明すると昔から熟成させていた原酒が売れて古樽の中が少し空いたら新し目の原酒を入れていた樽からその新し目の原酒を古樽に継ぎ足していく。ソレラシステムと言って19世紀初期頃から始まった熟成方法らしい。

そうして出来上がったシェリーもいくつか種類があって、フィノ、マンサニーリャ、アモンティリャード、オロロソ、ペドロヒメネス、モスカテルあたりが代表的。
生産されたシェリーの約30%がイギリスで消費されていて、地元スペインの約35%と比較しても消費量が多い。イギリスでは食前、食中、食後だけでなくティータイムにも飲まれていたみたい。しかし現在その生産量は大きく減少してきている。

熟成に使われた樽は大半が再度シェリーの熟成に使われますが、ウイスキーの熟成にも使われます。これが所謂シェリーカスクです。
どんな味わいなの?
能書きはこのくらいにして味わいについて紹介していこう。と言っても先程記述したようにシェリーにはいくつもの種類があるので主なものの中でもポピュラーなフィノ、オロロソ、ペドロヒメネス、クリームを紹介していきます。
フィノ
まずはフィノ。シェリーの中では辛口(甘くないという事)タイプのスッキリしたお酒です。

今回はゴンザレス・ビアス社のティオ・ぺぺというフィノシェリーでのレポ。
色は白ワインと同じ様な淡いストローイエロー。香りはナッツ、白ぶどう、爽やかさを感じます。味はナッツ、りんご、パイナップル、ぶどう、爽やかな酸味。結構フルーティー、甘さは感じませんね。ゴクゴク飲めちゃうお酒だと思います。
食べ物は基本的に何にでも合うと思います。特に油が多い食べ物。揚げ物、餃子、天ぷらと一緒に飲んでみたら美味すぎてあっという間にボトル半分まで減りました(笑)。スーパーの売れ残り半額のお惣菜とかで十分幸せになれますね。さすが世界で一番売れているティオ・ぺぺです!

オロロソ
さて、次はみんな大好きオロロソシェリーの紹介です。オロロソはフィノと同じ辛口に属するのですが、重厚で深みのある香味と20%近辺のアルコール度数が特徴。あと濃いブラウン色。
今回はオズボーン社のバイレンでのレポになります。

色は濃いブラウン。香りはローストしたナッツ、干し葡萄、深みを感じさせる。味はぶどう、プルーン、重厚感を感じさせる深い味わい。甘くはないです。
これに合う食べ物はカレー、ハンバーグ、スペアリブ等です。お酒自体が重厚ながらも後味がスッキリするのでお肉や料理から発生するギトギトさを洗い流してくれます。中々満足度が高い組み合わせでした。
ペドロヒメネス
いよいよやってきました。ウイスキー好きからオロロソに負けないくらい注目されているペドロヒメネスシェリーです。先程までのシェリーと違って極甘口で、名前の通りペドロヒメネス品種のぶどうから作られています。色もさらに濃くなって赤黒いです。作る過程でぶどうを天日干しするので濃い色と甘さを持っているんですね。デザートワインとしても一般的。
ゴンザレス・ビアス社のネクターでの感想になります。

色は赤黒く濁っている。粘性のある動きをする。香りは干しぶどう、プルーン、レーズン、濃厚な甘さを感じさせる。味はレーズン、プルーン、干しぶどう、とろっとした濃い甘さ。
これは人によって好き嫌いが分かれそうですね。はっきり言ってメチャクチャ甘い。僕は甘党なのですが、そんな僕の想像の上をいく甘さです。味が濃いのでグラスに少量注いで飲まないと飽きそう。
食べ物は甘いものには甘いものを。アイスクリームにかけたりして合わせたり、あとは抹茶アイス等抹茶系のお菓子とか合うと思います。僕は抹茶アイスと一緒に飲んでみましたが、黒蜜の様な味わいが出て来て大変楽しめました。おすすめです。

クリーム
クリームシェリーはオロロソとペドロヒメネスをブレンドして作られています。両方の良いとこ取り、滑らかな口当たりでやや重厚でレーズンのような味わいのある甘口シェリーです。
ハーベイ社のブリストル・クリームを飲んでの感想です。

色はオロロソに近い濃いブラウン。香りはレーズン、プルーン、甘さを連想させる。飲むとレーズン、重厚さの中にも軽やかな甘さとコクを感じる。
甘口ではありますが、甘すぎない丁度良い甘さ。すいすい飲めるので飲み過ぎ注意報が発令されます。個人的にはナイトキャップや食後酒として楽しんで頂きたいですが、食べ物に合わせるとしたらカレー、スイーツかな?あんまり試していないので今度やってみますね。
でも、お高いんでしょ?
価格についてですが、世の中に出回っている安いワインと比べて樽で熟成させる期間が長めなので1000円を切る事は残念ながらありません。僕の周りでの事になりますがフィノのティオ・ぺぺが某酒販で1500円程で売っていたり、オズボーンのクリームが1000円ちょっとで購入できたりします。
オロロソやペドロヒメネスは若干ベースの値段が高めになっていて2〜3000円から購入できるでしょう。高いものだと5000円を超えたりします。

ハーベイのブリストル・クリームも結構安くて良かったのですが、日本国内での取り扱いがなくなって終売してしまいました。美味しいのに大変残念です。
安い新世界のデイリーワインに比べるとコスパは良くないかもしれませんが、所謂ハズレを掴むことが少ないので好みとも一致すれば安定して飲める良さがあります。
シェリーは低迷が続いている
シェリーは1970年頃に生産量、販売量の最盛期を迎えました。しかし、現在ではその面影を感じられない5分の1程にまで減少してしまいました。その原因は低価格でも美味しい新世界ワイン等の競合の台頭や若い世代のニーズやイメージにマッチしていない、原材料や物価の高騰等様々なものがあります。

この影響はウイスキーにも出ています。ウイスキーの熟成に使われるシェリー樽の供給量が大幅に減少、樽の価格の高騰に繋がっているのです。特に質の良い樽が不足していて、一度ウイスキーに使った樽をシーズニングして再活性させてまた使う事が多くなりました。
シェリーを飲もう!
当然売れないものをたくさん作ろうとはならない。一度販売量が減り始めると持ち直すのは難しい。この記事を見ているそこの貴方には一杯でも多く何らかのシェリーを飲んで頂ければ、消費量と販売量が少しだけ上向いてくれるかもしれません。勿論僕も飲んでいこうと思います。
美味しいシェリーを飲んで良質なシェリー樽がウイスキー業界に流れれば、美味しいシェリーカスク熟成のウイスキーを飲める機会がきっと増えていくでしょう。一石二鳥ですね。
みなさんも食事や食後、ティータイムにシェリーを一杯飲んでみてはいかがでしょうか。


コメント